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熊本

別府から熊本までは、今回使った3度の青春18きっぷ九州移動の中では
距離がいちばん短い、比較的ラクラクコースだったので
彼もそこまでお疲れではない様子。所要4時間くらい。

乗り換えの大分駅での改札では、老夫婦が私たちと同じく
青春18きっぷで手動改札で通っていたので
ついつい「あれ、同じ切符ですね~」とフランスのノリで声かけてしまいました。
おばさんのほうが「あたしはアレなんだけどさ、旦那が18好きなもんだからさ、
毎回ついていってるってわけ。季節モンだし安いしさ、まあ楽しいよ」と。
そしてこの大分から熊本までの電車が、やたら混んでました。土曜だから?
そのほとんどが、望遠レンズなんて持って停車の合間にバシバシ撮るような方々。
はたまた途中の阿蘇で下車してプチトレッキングするような方々。
大分が我ながらなかなか渋いコースを選んでしまったので、
この熊本で屋久島に引き続き本格的な観光名所に行くような気がして、ワクワクしました。
阿蘇で降りたいところを我慢して、とりあえずは宿のある熊本市へ。

水前寺という駅で降りて、宿まで歩きます。
今回の宿はまた一風変わっていて、なんと珈琲屋さん兼ゲストハウスなのです。
マスターさんはがんばってカタコトのフランス語で彼に話しかけています。
わたしもはじめての時つまづいたのですが、「名前は何ですか?」のフランス語の質問に
答える彼の名前は、だいたい通常の日本人には聞き取れないのです。
Henri、英語読みでヘンリーというこの名前。カタカナで書くとアンリなのですが、
どう説明したらよいやら、この発音を日本語で書くのは不可能です。
見事失敗に終わったマスターのあいさつでしたが、英語はできるようなので、
お店に飾られているいちばん大きい絵がパリの街のどこからしいと言うので、
私たちで「これサンルイ島じゃない?」と当てたりして、しばらく和みました。
マスターのコーヒーもものすごく美味しくて、
聞けばやはりアメリカへはよく通っているそう。
このコーヒー屋も一室のひとつである、古めのアパート全体がゲストハウスなので、
なんだか日本のアパートに短期滞在しているみたいでたのしかったです。

その店主オススメの熊本が、水前寺公園とタイピーエンという食べものだと言うので、
さっそくお腹空いてる私たちは食べに行くことにしました。
熊本中心街は、意外にも都会でびっくり。
商店街を歩いて噂のタイピーエンが美味しいというレストランへ。
レストランというか、普通に中華料理屋です。ちょっと高級目の赤い円卓とかあるような。
どうやらタイピーエンとは、エビチリのように本場中国には存在しない
日本人が勝手に作った中華「風」料理だそうなのです。
端的に言うと、ちゃんぽんの春雨麺版でしょうか。
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わたしは春雨好きなのですが、普通においしかったです。
じつは今回この熊本では、友達が熊本在住の友達を紹介してくれていて、
後日会う予定なのですが、彼女からすでにいろいろご当地情報を聞き出していたのです。
そのうちのひとつが、この商店街にある有名な
「蜂楽饅頭」というまんじゅう屋さんの、かき氷。
屋久島で逃した「海の家でかき氷」ですが、ただ単に「宇治金時味が食べたい」
という思いもあったので、乗り気でない彼をなんとか誘って中に入ります。
だって子供の頃宇治金時なんて、高価で食べられなかったんだもん。
当時はババくさいと思ってたし。いつもお母さんが注文するものを一口もらっていまいた。
なぜ彼が乗り気じゃないかというと、それは混んでるからです。並んでいるのです。
彼はまんじゅう1個、私は宇治金時を注文し、番号札を持って待ちます。
まんじゅうを注文する時「白あんですか、つぶあんですか?」と聞かれて
そんな選択肢すっかり忘れてたので、私も慌ててしまって
急いで彼に通訳し、普通につぶあんにしましたが、
ああいう日本特有の空気、混んで並んでいる場面で周りに迷惑をかけないように
急いで注文する焦りという感情を、久々に体験しました。
饅頭をショーウィンドウ越しに焼いてるおばさんが、カッコイイ。
以前からこういう場面は興味津々で見てしまうタイプですが、
今回は目線がもう完全に外人目線です。
人生ではじめてのいわゆるフワフワのかき氷、当然美味しかったのですが、
クーラーガンガンの店内で食べるものではないな、とも思いました。
やはり子どもの時にもっと食べておくべきでした。

思えば熊本はこの旅はじまって以来の都市なので、久々の大都会に
2人とも若干興奮し、この日はそのまま商店街とかショッピングモールめぐり。
通行中、私の行動がよほど困っているように見えたのか「Can I help you?」
と日本人女性に話しかけられてしまいましたが、ふつうに日本語で
「あ、大丈夫です、ありがとうございます。」と返す私。
彼女はそれでもたぶん私のことを日本語の上手な外国人と思っていることでしょう。

鹿児島のさつま揚げ屋さんで買おうとした時のこと。
店番はおばさんで「あ、ちょっと、ちょっと」と言って裏の自宅の居間に下がり
「おとーさーん、外人さん!」と助けを求めてる様子。
代わりに参上したのはおじさんですが、「This is traditional salty deep flied patty」と、
どうやら英語で私たちと会話したい様子。
おそらく公民館などで習った英語を今こそ活かせる!という意気込みが伝わってきて、
乗ってあげないわけにはいかない雰囲気なので、仕方なく英語で会話。
私は配慮して難しそうな英単語はなるべく日本語を使って会話したりしたのですが、
おじさん「You should talk me in English」と強気です。
私までネイティブっぽい発音で話さなきゃいけないような状況に陥ってしまいました。
「パリには2度行きました」と居間の片隅にあるエッフェル塔の写真も見せてもらいました。
最後に「あなた、なんでそんなに日本語が上手なの?どうやって勉強したの?」と言うので
いい加減「いや、私は日本人ですよ」と日本語で答えました。

話を戻して、ショッピング巡りで彼が目をつけたのは、浴衣と家電店。
ちなみに私はクマモンしか目に入りません。
浴衣はけっきょく高い、という理由で見るだけに留まりましたが、
今回彼は旅行写真をすべてiPhoneで撮っていたので、さすがにどうかと思っていたようです。
そもそもはじめは、私がいい加減自分の一眼レフのレンズがもう機能しないので、
いっそのことお金のあるうちに買っちゃえ!という思いで家電店に入ったのですが、
さすがにそこは熊本、ニコンのレンズを何種類も揃えてます!みたいなお店は
見つけられませんでした。
さらにレンズは最低額でも3万程度はするので、ならいっそのことこの旅行で
より小型で便利な同額のものを買ってもよいかと。
と思っていろいろ見ていると、むしろ興味津々になってきたのは彼のほうで、
今話題(?でもないと思うけど)のほぼ一眼レフ機能のコンパクトカメラを
友達が持ってた、と言い出し、日本の市場の値段を見て仰天。
普段から日本で言う価格.comみたいなののフランス版サイトはよく見てたのは知ってますが、
とにかく値段が1万円以上安いのだそうで、じゃあ買おうかってことになり、
けっきょくお互い買うことにしました。同じものではないけど。
私は機能というよりは使いやすさと見た目重視なので、
なんとなくクラシックっぽい作りの手頃な値段のを選びましたが、彼はすごかった。
お店のiPadを使って、フランス語のカメラ批評、比較、すべて検証し、
フランス語の説明書がダウンロード可能かまで調べて、のべ1時間は居ました。
担当の人にも「すいませんねー」と言いながらもそこまで気にしていないのですが、
けっきょくこの日はこのカメラで一日使い果たしたと言っても過言ではないくらいでした。
まあでもメカニックな彼には重要な出来事だったようなので、べつにいいのですが。

夜は近くのダイエーで買った食材で料理。
彼が日本に来てから好きになったものは、
おにぎり、海藻、ゆずこしょう、ごぼうサラダ、するめ、冷奴、コーヒーゼリー、豆乳。

翌日は彼きっての希望で、市営プールへ。
午前中に泳がないと気が済まないらしいので。
ちょうど宿の近くが交通局だったので、市電一日券を購入。
日本でプールに入るなんて小学校の授業くらいの久々でしたが、
プール施設内の壁の至る所にある注意書きに、頭がいっぱいになってしまいました。
こんなに注意することあるのー???
ヘタに日本語が理解できると余計な情報まで入ってきちゃいます。
私は、脇でペチャクチャしゃべりながらの丸々おばさん達と共にウォーキングコースや、
もう片方脇の初心者コースをビート板でバシャバシャやるような時間の使い方ですが、
彼は、30分まったく止まらず上級コースをひたすらクロールしまくりです。
どんなに泳ぎの上手な日本人も時々休んで、また泳いで、みたいなペースだったのに、
彼だけは黙々泳ぎ続けるのです。
彼のトレッキングのスタミナは間違いなくこれだな、と思いました。
帰り際、受付のお姉さんに
「あのー次回お越しになる際には、スイムスーツなどで刺青を隠していただけますか?」
と言われました。あーやっぱダメなのねー。

プールを出て、近くを散歩。
この一体は水前寺公園といって、宿のマスターもおすすめしてくれたところ。
ほんとうに川の水が澄んでいて、今にも蛍が出そうな雰囲気。
芭蕉がうじゃうじゃ生えてる獣道を発見して、歩き進むと
近所に住む貴婦人風の感じの良いおばあさんに遭遇し、
見晴らしのよい獣道コースを案内してもらったりと、私的にはかなり楽しかったです。
実際ここではじめて遭遇する虫も見ました。
黒いトンボです。あとで虫博士に聞いたところによると「ハグロトンボ」という名前の
従来の尖った飛び方ではなく、蝶のようにフワフワ飛ぶトンボなのですが、もう大量発生。
旅先でいろいろ珍しい動植物に遭遇するのが大好きです。
なんでも熊本は100%地下水を汲んで使っているそうで、大きいダムが近所にあった
私の故郷の環境とはぜんぜん違うなと思いました。
奥には江津湖という美しい池サイズの湖もあるらしく、行きたかったのですが、
どんどんメインの熊本城に行く時間が押せ押せになってきているので、市電に乗ります。

さて熊本城です。
また私のワクワク感を裏切るように、入城直前に「先にごはん食べない?」と言われて
熊本ラーメン屋へ。私はあまりラーメンが好きではないので、熊本牛のハヤシライスに。
彼のラーメンをひとくちもらうと、へーこれが熊本ラーメンか、という感じ。
高菜が入っているのですね。そういやタイピーエンにも入っていたかも。
私の中で高菜といえば中国でよく食べる食べ物のイメージのほうが強いので、
やはり九州という土地は中国の影響を多大に受けているな、と感じたエピソードでした。
美味しかったです。

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加藤清正の城だったのですね。熊本のことを肥後っていうのも
行くまで知らなかったくらいですから。
加藤清正って、歴史上ではわりとぱっとしない人物の記憶しかないのですが、
しかし城は立派でした。
恥ずかしながら私の城見回数は、これで3度目。大坂城、松本城に引き続きです。
もっといろいろ日本の城も見てみたいところです。

夜は、明日阿蘇に車で連れていってくれる、友達の友達、みのりさんと会う約束。
彼は(プールのせいで)疲れているので、部屋でゆっくりしているというので、
私ひとりでおでかけ。なんという開放感。
やっぱりたまには別行動したほうが、お互いのために良いと思う、と思えるまでには
まだまだ時間がかかりました。
河原町という、熊本のアングラな若者たちがひっそり集まる界隈へ。
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ヨーロッパみたいでおしゃれーと本気で思ってしまう自分が怖い!
みのりさんと小坊主なつめくんです。
なつめくんはこの後、みのりさんに運ばれてきた、うす〜いガラスのジントニックを
早々にぶちまけて割ってしまいました。薄いもんね、あのグラス。
いろいろお互いの彼のことなど初対面ながらにお話して、
明日はいよいよ阿蘇!彼が運転しないから機嫌も悪くならない!
# by uncoblicco | 2013-11-03 21:36 | EU旅行


世界中の自然の音や日常の音を録音して廻り、チェロの音と合わせた作品を作ってたのは過去の話。うんこ記録も終了。現在アフリカ目指してパリ在住。


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